責任が与えられる場合
いろいろな働き方は以前からありましたが、今の時代のように、既存の方にとらわれない方法で働くことのできる時代の到来を、正確に予測することができた人がいるでしょうか。
仕事する場所を、ドトールコーヒーやスターバックスなどのカフェにして働くノマドスタイル、または在宅勤務など、少し前には後ろ指を指されたはずの働き方が、今では一つのスタイルになっています。
もちろん、そのような働き方の背景には、今の日本がつくりだしている雇用環境があるでしょう。
終身雇用制度が崩壊して、企業はどんどん正社員を減らそうとしています。
そのぶんを、非正規雇用、派遣社員、アルバイトで補おうとします。
そうなってくると、当然の結果として、そのような形態で働かされる人が多くなるということです。
最近では、企業や店舗においても、正社員以外の人たち、つまりアルバイトや派遣社員が大きな責任を担っている場合も多くあるのです。
たとえば、洋服を販売しているお店、飲食店、居酒屋などでは、アルバイト店長や雇われ店長の活躍が目立っている場合もあります。
そのようなケースでは、責任や仕事量が増えるにもかかわらず、それに比例して報酬が増えるわけではない場合があるので、注意しなければなりません。
ユニクロやマクドナルドの場合には、たとえ時間給が低くても、そこのチームで働くことに喜びを感じることができるので、それがやりがいに直結する場合もあるようです。
そのような職場では、クルーリーダーや、店長にまでなると、責任感や自覚がさらに強まり、用いられているという実感がありますので、喜んで仕事をするかもしれません。
しかし、みんながそのように、やりがいだけで責任を引き受けるわけではありません。
やはり、仕事に対する報酬は、金銭によって表されなければならないので、責任に応じて、もっと報酬が上がってもいいはずだと考えるかもしれません。
しかも、店舗によって、アルバイトで店長やクルーリーダーになっている場合に与えられている権限の度合いが異なります。
たいていの場合、かなりの程度まで上が決めたことが、ただ確実に実行へと移されることを見届けるだけが、そのようなリーダーの仕事になってしまう場合があります。
そのようなケースでは、実質的にはアルバイトの権限はほとんどなく、自分の進取の気性によって物事を進めていくことができないために、やりがいよりもむしろストレスの方を抱えやすくなるでしょう。
一方、ジュンク堂書店のように、ある売り場のリーダーになったら、絶大な権限を手にすることができて、どのような本を発注するか、そしてディスプレイなどに関しても決定権が与えられており、その点に関しては店長も口を出せないほどになっている場合もあります。